アンゾフの成長マトリクス

本日はアンゾフの成長マトリクスについて勉強していきたいと思います。

 

アンゾフの成長マトリクスはその名のとおり、アンゾフさんが考えたフレームワーク(考える枠組み)で、企業が成長するにはどうすればよいかを考える際に利用されますす。企業が行う事業の範囲を「製品」と「市場」の2つの要素に分解して、さらにそれを、「新規」と「既存」という観点に分けて事業展開の方向を検討していきます。

 

「製品」と「市場」についてそれぞれ、「新規」と「既存」の2つに分解するので、全部で以下の4パターンについて考えることになります。

「既存製品×既存市場」

「新規製品×既存市場」

「既存製品×新規市場」

「新規製品×新規市場」

すべての可能性を考え、その中から自社にとって最適なものを選択することで企業を成長させる方向性を決定します。フレームワークを使わずに考えると、検討に漏れが出てしまい、大切なものを見落としてしまう可能性がありますので、このようなフレームワークを使って考えていきます。

 

それでは、ここからは半径10km圏内の近所の方を顧客(市場)としている、お肉屋さん(商品が精肉のみ)を例にして考えていきましょう。

 

1つ目の既存製品×既存市場は「市場浸透戦略」と呼ばれています。
いままでの市場に、既存の製品やサービスのままで、売上高や市場シェアの拡大をめざす戦略です。市場浸透戦略では、製品の認知を上げたり、購入意欲を高めたりすることが大きな課題となり、戦略の主な目的になってきます。

お肉屋さんの例で考えると、ポイントカードで顧客の囲い込みをしたり、特売品を出して購入意欲を高めたりという方法が考えられます。

 

2つ目の新規製品×既存市場は、「新製品開発戦略」と呼ばれています。
いままでの市場に、新しい製品やサービスを投入して、売上を拡大しようとする戦略です。既存市場のニーズに対応した製品やサービスを開発すること、競合と差別化を図ることができる製品やサービスを開発することができるかどうかが、重要なポイントになります。

お肉屋さんの例で考えると、精肉(既存商品)と一緒に、コロッケやハンバーグなどの加工したもの(新商品)を販売するなどが考えられます。あまりメリットがなさそうですが、近所の主婦が対象であるなら肉屋でお魚を販売するなども「新規製品×既存市場」です。

 

3つ目の既存製品×新規市場は、「新市場開拓戦略」と呼ばれるものです。
既存の製品やサービスを新しい市場に投入して、戦う戦略です。その市場に競合がいる場合は、商品力や売る力が重要なポイントになります。

お肉屋さんの例で考えると、宣伝の範囲を広げて、お客さんの層を半径10km圏内から半径20kmに広げるのも新市場開拓ですし、これまで一般家庭のみを対象にしていたのであれば、レストランなどのお店にお肉を卸せるように営業活動をしていくといった方法が考えられます。

 

4つ目の新規製品×新規市場は、「多角化戦略」です。
新しい市場に新しい製品やサービスを投入する戦略です。多角化は今までとは異なる分野での事業展開になるためハイリスク・ハイリターンの戦略です。

お肉屋さんの例では、これまで主婦層に精肉のみ販売していたとすると、学校帰りの高校生にコロッケを販売するといった小さなものも多角化になりますが、お肉屋の主人に才能があれば、精肉点を営む傍ら、ITベンチャーや探偵や情報屋になってもかまいません。

 

大切なのはいろいろな角度から手法を検討し成長の可能性を広げて、最適な方法を選び実行することです。いろいろと成長の方向性を考えましたが、このお肉屋さんはどう成長していくのがよいでしょうか。検討段階で正解はわかりませんので、真剣に検討した結果を信じて突き進むしかないですね。

 

 

競争地位戦略_3

本日は競争地位戦略のフォロワー、ニッチャーの戦略について勉強していきたいと思います。

 

まずはフォロワーがとるべき戦略です。フォロワーは随行者、模倣者という意味の言葉です。随行は目上の人のお供をするという意味ですね。

この言葉のとおりフォロワーはリーダーを蹴落としてNo.1を狙うといった戦い方ではなく、リーダーに追随することで市場シェアを維持するという戦い方をします。「成長を目指す」ではなく「維持する」というところがいちばんの特徴でしょうか。

 

業界で2、3番手に位置する大企業のチャレンジーは、リーダーに挑戦するために新規商品の開発や品質の向上等をするため積極的な投資が必要となりますが、フォロワーは、リーダーやチャレンジャーの成功事例をあとからマネすることで、市場シェアを維持します。

具体的には流行の発端となる商品を開発するのではなく、流行となっている商品と似たものを安価に販売するなどの方法をとります。皆さんもホンモノは高いし、予約で品薄だし、仕方ないから似ているこれでとりあえずはいいかー。という気持ちで購入したものがあるのではないでしょうか。

すでに成功しているものをマネするので、市場投入時の販売予測も立ちやすく、開発費用が無駄になるというリスクが低くなります。また、そもそもマネなので研究開発にかける費用自体があまりかかりません。こういったメリットをいかして、ホンモノよりも低価格、低品質でも満足する顧客層を取り込んでいきます。

また、模倣品に独自のアイデアを追加することで新規顧客を獲得するという方法もありますが、やりすぎるとリーダーから直接対決を挑まれ、市場をつぶされてしまいますので、大きく成長を目指さないというのがポイントになります。

 

続いてはニッチャーの戦略です。ニッチは英語で隙間という意味です。

ニッチャーもフォロワーと同じく、業界上位の企業ほどの経営資源がありませんので、リーダーを蹴落としてNo.1を狙うといった戦い方ではなく、特定の領域に集中してそこでの高シェア率を獲得します。市場全体でのリーダーを目指すのではなく、小さな特定市場でのリーダーを目指すともいえるでしょうか。

 

一時期高級食パンブームがありましたが、まさにこれがニッチな市場で、高級食パン店は食品業界、パン業界、食パン業界でのリーダーを目指すのではなく、「高級な食パン」という分野においてのみリーダーを目指すという戦い方でした。

 

隙間ならどこでもいいというわけではなく、きちんとニーズがあり、かつ自社の資源がいかせるところ、また他の企業が参入しづらいところを選択する必要があります。高級食パンの火付け役「乃が美」が開店した当時は、高級食パン市場というものはこれまであまり注目されていませんでしたので、この特定市場で大きく成長することができたかと思いますが、そこに市場(チャンス)があると気づいた他の企業がこぞって高級食パン市場に参入した結果、どこでも高級食パンが手に入るようになり、市場は競争が激しくなりました。

 

他の企業に気づかれず、ひっそりと、または他の企業にまねできない技術を発展させるということが継続的にニッチャーとして利益を出し続けるためには必要なのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

競争地位戦略_2

本日は競争地位戦略のリーダー以外の戦略について勉強していきたいと思います。

 

まずはチャレンジャーがとるべき戦略です。

チャレンジャーは、業界で2、3番手に位置する大企業で、リーダーに挑戦し常にトップの座を狙う企業のことです。ハンバーガー業界でいえば「モスバーガー」でしたね。

 

市場シェアの拡大には、競合他社への攻撃が不可欠で、攻撃対象の弱点をつくなどの対応が求められます。経営資源はリーダーよりも小さく、同質化をしていたら負けてしまいますので、リーダーと似たようなことではなく、差別化戦略をとる必要があります。

マクドナルドの安いに対して、モスバーガーはちょっと高級。ジャンクなイメージに対して健康的といった感じで差別化が図られています。

 

差別化をしたうえでのチャレンジャー企業の主な戦略は次の3つです。

①   直接対決

リーダーと同様の領域で真っ向から勝負を挑みシェア獲得を図る戦略です。思い切った価格戦略や、宣伝への投資などがこれにあたります。

 

②    背面攻撃(競争範囲の拡大)

リーダー企業がまだ強化していない領域に着目し、シェア獲得を図る戦略です。リーダーは基本的には全方位でシェアをあげていく必要がありますが、その隙を狙ってシェアをのばします。

これはなんとなくですが、モスバーガーは主婦層などに対してのシェアが高いイメージなので、ここを狙っているのかもしれません。

 

③    後方攻撃

自社よりシェアの小さな企業からシェアを奪う戦略です。リーダーから奪わなくとも、シェアが拡大すれば、規模の経済が働き、資源や効率性が高まり、リーダーと戦う競争力が強くなりますので、リーダーと直接対決する前に他から奪っておくという戦略です。小さな企業を吸収合併するようなケースもこれにあたるでしょうか。

 

 

 

競争地位戦略_1

本日は競争地位戦略について勉強していきたいと思います。

 

競争地位戦略はコトラーさん(経営学者)が提案した理論で、業界におけるマーケットシェアに応じて企業を4つに分類することで、それぞれの位置に応じた企業の戦略目標の定石がわかるというものです。

 

4つの分類は以下のとおりです。

①リーダー     ・・・最大のマーケットシェアの企業。

②チャレンジャー  ・・・業界で2、3番手に位置する大企業。

③フォロワー    ・・・業界上位の企業

④ニッチャー    ・・・業界上位ではない企業

ハンバーガーショップでいうと、リーダーがマクドナルド、チャレンジャーがモスバーガー、フォロワーがロッテリアファーストキッチン、ニッチャーは、トランプ大統領が来日した際にハンバーガーを提供したお店などでしょうか。

 

リーダーがとるべき戦略には以下の4つがあります。

①周辺需要拡大

リーダー企業は市場全体の規模が拡大すればもっとも得をするので、積極的に市場の拡大(新規ユーザの獲得、使用量の増加など)をする必要があります。

ハンバーガーといえば昼ご飯のイメージですが、朝マック、夜マックなどハンバーガーショップで食事する機会を増やすような働きかけをマクドナルドが行っているのは周辺需要拡大を狙った戦略かと思います。

 

②同質化

同質化とは他社と同じような戦略をとることです。同じことをした場合には経営資源の大きいほうが優位であるため、シェア下位の企業が斬新な商品を開発した際などに同様の商品を開発して提供することでしゃえの維持をはかります。

モスバーガーといえば、ライスバーガーですが、マクドナルドもごはんバーガーなるものを商品として提供することで同質化戦略を行っているのではないでしょうか。

 

③非価格対応

業界トップのリーダーが値引きをすると競合他社もそれに追随する可能性が高く、結果的に業界全体が低価格のために利益が低くなり、最大シェアをもつリーダー企業がいちばんダメージを受けることになります。そのためリーダは安易な値下げをしてはいけないというのが非価格対応です。

消費者として値引きはありがたいですが、絶対的なリーダーがいるような市場では価格競争が起きにくそうです。

 

④最適シェアの維持

市場シェアをとりすぎると、独占禁止法に抵触します。また、ある程度の水準を超えて成長しようとすると、市場シェアの拡大には多大なコストがかかり利益率が下がることがあるため、最適なシェアの維持が必要となります。

全方位で他社の模倣をしてメニューを増やしていくなどすると、オペレーションの手間や材料の無駄が多くなりますし、あまりハンバーガーを食さない老人を顧客として獲得しようとすると宣伝費用等がかかりコストが高くなるといった感じでしょうか。

 

リーダー以外の戦略についてはまた次回。

 

 

バリューチェーン分析

本日はバリューチェーン分析について勉強していきたいと思います。

バリューチェーン分析は、企業の活動を顧客に価値提供するための連鎖のようにとらえることによって企業の活動を分析し、弱み・強みを明らかにすることを目的としたフレームワークです。

 

事業活動を機能ごとに分解して、どの部分で価値(差別化や低コスト)が生み出されるのか、どの部分に強み・弱みがあるのかを分析します。 フレームワークとは大事な検討要素が漏れないように使うための単なる枠組みなので、大切なのはそれぞをどう分析するかの中身です。

 

企業によって価値提供を行う連鎖の形は異なりますが、一般的には

①購買物流

②製造

③出荷物流

④販売・マーケティング

⑤サービス

といった流れで顧客に価値を提供しています。これが企業の主活動で具体例にすると、

①肉と野菜を仕入れる

②冷凍餃子を製造する

③スーパーへ出荷する

④テレビ広告で宣伝する

⑤お客様からの問い合わせ窓口で対応する

といった感じでしょうか。

 

また、企業を運営していくうえでは、このような直接的な価値提供とは別に、全般管理、人事・労務管理や技術活動、資金等の調達活動、システム管理などの支援活動も必要になりますので、それぞれについて強み、弱み等を分析していきます。

 

強み・弱みは相対的な指標なので、自社について個人見解だけで決めるのではなく、競合の企業等と比較して強みなのか、弱みなのかを考えていく必要があります。また、分析するうえで大切な観点は企業の戦略を踏まえて行うことです。

差別化戦略(他の企業では実現できないことを目指していく)なのか、コストリーダーシップ戦略(コストを他社より抑えていく)なのかの基準をしっかりと持ったうえで強み、弱みを分析していく必要があります。

 

このように機能ごとに分けて分析し、強みを活かす、弱みを改善していくことでより強固に戦略を実行していくことができるようになります。

とにかく安く冷凍餃子を提供する!という企業が、製造(②)の部分でものすごく効率化をはかっていたとしても、スーパーへ物を出荷するときの配送費(③)でぼったくられていたり、テレビCMにお金をガンガンかけていたり(④)すると、他社よりも低価格での提供はできなくなります。

フレームワークでもれなくすべての工程が、コストリーダーシップ戦略とマッチした活動になっているかを確認をしていくことで、他社に対して強みを発揮していくことができるようになります。

また、他社から見えない部分で強みが作られてくると、模倣困難となり他企業の新規参入等が難しくなり市場を守っていくことができるようになってきます。

 

ファミリーレストランサイゼリヤはコストリーダーシップ戦略をとっていますが、

①の仕入れのところで、大量仕入れによるコストダウンだけでなく、野菜の品種改良をして自社にとって最適な野菜の栽培をするというところまで手を伸ばしてコスト削減を図っています。

また、それぞれの店舗での調理時間を最低限にするため、食品の製造は工場で大量に効率的に行いコスト削減をしています。

また、これによって店舗のキッチンスペースを小さく、店舗に占める席数を最大化し、売上を伸ばすということまでしています。

さらにさらに、理系人材を多く育成、採用して日々効率化を図っているという徹底ぶり。ここまでされると、一般のレストランが価格で勝てる気はしません。

 

レストランが野菜の品種改良まで!という発想になったのはバリューチェーン分析をしたからなのかもしれません。

集中戦略

本日は集中戦略について勉強していきたいと思います。

 

集中戦略はポータが提唱した3つの基本戦略「コスト・リーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」のうちの1つで、経営資源を「特定セグメントに集中」する戦略です。

 

経営資源の大きい大企業は大きな投資をして「コスト・リーダシップ戦略」や「差別化戦略」で市場での優位性を築くことができますが、経営資源の少ない中小企業はこのような方法がとれません。したがって、少ない資源を特定の箇所に集中することで大企業と戦えるようにする必要があります。

(業績の良い中小企業はほとんどが集中戦略をとっているそうです。)

 

資源の投下先を特定のセグメントに絞ったうえで、競争優位の源泉を「独自性を持つこと」とする場合を「差別化集中戦略」、競争優位の源泉を「他社よりも低いコストを実現すること」とする場合を「コスト集中戦略」と言います。

 

特定のセグメントの切口としては、「製品・サービス」「顧客層」「エリア」などがあり、「製品・サービス」特化は、軽自動車に特化したスズキ、フライドチキンに特化したケンタッキー・フライド・チキン。「顧客層」特化は、主婦に特化したしまむら

「エリア」特化は地域密着型のスーパーなどでしょうか。

自動車市場、ファーストフード市場、服飾市場、食品市場全体で見たときには、各分野のリーダ企業(トヨタマクドナルド、ユニクロ、イオン)に勝てていなくとも、戦う場所を絞ったときには、それぞれの企業は優位性を発揮しているのがイメージできるかと思います。

 

集中戦略のリスクですが、

・「コスト・リーダーシップ戦略」の企業とのコスト差が拡大し、集中の優位性が築けなくなる。

・絞り込んだセグメントの市場が縮小する。

などがあります。

対象セグメントを絞りすぎると市場が狭くなり、売上が見込めませんし、対象を広くすると大企業との対決になってしまうので、集中戦略においては、対象セグメントをどう定義するかがいちばん重要になるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

差別化戦略

本日は差別化戦略について勉強していきたいと思います。

 

差別化戦略はポータが提唱した3つの基本戦略「コスト・リーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」のうちの1つで、競争優位の源泉を「独自性を持つこと」とする戦略です。

つまり、他社には作れない製品を作る、他社では提供できないサービスを提供するということに注力することです。

 

独自性を持つだけでは売れませんので、独自性があって顧客に評価されるものを提供するということが重要です。他では手に入らないものを提供することになりますので、販売価格が高くても売れるようになり、高収益が見込めるようになります。

 

差別化を実現するためには、

  ・製品の差別化

  ・サービスの差別化

  ・チャネルの差別化

  ・プロモーションの差別化

などが必要になります。製品の差別化はイメージがしやすいかと思いますが、国産野菜を多用するなど、高品質をウリにしているモスバーガーなどの戦略です。スターバックスコーヒーは製品の差別化とあわせて、コーヒーを提供する空間(サービス)を差別化することで、高価格でも集客ができるようになっています。

 

今ではなんでもネットで買える時代になっていますが、Amazonはネットで本が購入できるという点で以前はチャネル(流通経路)の差別化戦略をとっていたのではないでしょうか。また、テレビショッピングのジャパネットたかたなども他にはない売り方なので、チャネルの差別化戦略かと思います。

プロモーションの差別化は、有名タレントを専属で採用するなどでイメージを差別化していく戦略です。

 

差別化戦略をとるにあたって最も大切なことは、稀少で模倣困難な製品、サービスを持続的に提供することです。一時的に差別化されていたとしても、他社に模倣されてしまうと、価格競争に巻き込まれてしまいますので、自社独自の経営資源をフル活用して他社がマネできないものにしなくてはなりません。