コスト・リーダーシップ戦略

本日はコスト・リーダーシップ戦略について勉強していきたいと思います。

 

コスト・リーダーシップ戦略はポータが提唱した3つの基本戦略「コスト・リーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」のうちの1つで、競争優位の源泉を「他社よりも低いコストを実現すること」とする戦略です。

つまり、他社よりも安く製品を作るということに注力するということです。

 

コスト・リーダーシップ戦略の企業といえば、ニトリマクドナルド、サイゼリヤなどなので、「安売りする戦略」なのね。と考えそうになりますが、大切なことは製品を作る過程でのコストを抑えることです。コストがかからないので、他社よりも安価に製品を提供することもできますが、値引きをしなくても製品が売れるのであれば、他社と同じ価格で提供をして利益率を高める、広告宣伝費に他社よりも投資をして、販売数を増やすということもできます。

 

コスト削減を実施するためには、

  ・製品を大量生産して、1製品あたりの製造単価を下げる(規模の経済性)

  ・他社に先駆けて同じ製品を作りつづける(経験曲線強化)

  ・原料等の仕入れ価格を削減する

といった方法が必要です。

 

なんとなくイメージしやすいかとは思いますが、ラーメン屋で餃子を1つずつ手作りするよりも、工場でガシガシ作っていったほうが1つの餃子を包む速度は速くなりますし、そこで餃子を包むという作業のみをずっと続けている人は一般の人よりもだいぶ早く餃子をつくれるようになっていくでしょう。

また、大量に生産するのであれば、材料も大量に仕入れることになりますので、普通のラーメン屋よりも仕入れ先との交渉力も高くなり、材料を安く仕入れることもできます。

 

製品を大量に効率的に作るということを考えればよいので、コスト・リーダーシップ戦略は、やるべきことが明確でわかりやすいですが、デメリットもあります。

上記の例でも「工場でガシガシ」と書きましたが、大量生産するためには、工場を建設するなど初期投資が大きくかかりますので、そもそも小さな企業では投資に費用をかけられないので、この戦略自体をとることができません。

また、失敗した場合は投資した費用の回収ができず、企業自体が破綻してしまうというリスクもあります。

 

失敗するケースですが、

・他の製品の需要が急速に拡大し、優位性が下がる(イノベーションの発生)。

・市場の成功要因が差別化に移行する

・コスト集中戦略に敗れる

といったものがあります。

 

1つめはイノベーション(革新)により、製造していた商品の需要自体が下がっていくケースです。他社よりも安く公衆電話を作れるようにと努力を続けていたとしても、携帯電話が普及した今ではそもそも公衆電話自体がなくなってしまっています。

 

市場の成功要因が差別化に移行するというケースは消費者が価格ではない基準で商品を選ぶようになってくる場合です。有名ラーメン屋がこぞって特徴ある監修餃子の全国販売を始めてそれが一大ブームとなってしまうと、安い普通の餃子は売れなくなります。

 

コスト集中戦略に敗れるというケースですが、これは真っ向勝負に負けるケースと、部分的にじわじわと負けていくというケースがあります。餃子の製造のコストでは大企業に勝てないけれど、しそ餃子だけは大企業よりも安価に提供できるという中小企業があった場合、そこを切り口に徐々に市場シェアをあげていくことができます。

一方大企業ではシェアを奪われると大量生産のメリットが下がっていきますので、少しずつ他の企業にシェアを奪われていくとどんどんと衰退していくということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マネジメントサイクル

本日はマネジメントサイクルについて勉強していきたいと思います。

 

マネジメントサイクルとは、企業内部の資源を効率的に利用して、目標を達成するために使われるフレームワークです。どんなに良い戦略があったとしても、それが実行できなければ意味がありません。

 

マネジメントサイクルには、PDSサイクル、PDCAサイクルなどいくつかの考え方がありますが、おおよそどれも考え方は同じで、「うまくいくように何度もやりなおしていく」ということをイメージできていればいいのではないかと思います。

 

PDSサイクル

計画(PLAN)→ 実行(DO) → 統制(SEE)の3ステップで構成させるマネジメントサイクルです。統制とは、一定の計画や方針に従って指導・制限することですので、1つのサイクルですが、すべてが同じ人が実行するというよりも、計画を立てて、統制する人と、計画を実行する人は別という考えで見てもいいかもしれません。

 

「計画を立てたぞ!このとおりにやれ!」→「やりました!」→「ここが計画と違っているじゃないか!やりなおし!」というようなイメージです。

 

PDCAサイクル

計画(PLAN)→ 実行(DO) → 評価(CHECK)→ 改善・対策(ACTION)の4ステップで構成されるマネジメントサイクルで、いちばんよく言葉としては使われているものではないでしょうか。

PDSサイクルとの違いが難しいですが、PDSサイクルは目標達成のための計画ができているという前提になっているのに対して、PDCAサイクルは計画自体を良くしていこうという考え方が入っているところではないでしょうか。

 

「こうすれば目標に近づくのでは?やってみよう」→「やりました!」→「どれどれ。結果を見てみよう。前のやり方よりは少し良くなったね」→「じゃぁ次は、こんなことを取り入れてみようかな」→「よし。次の計画はこれだ!やってみよう」→ 続く、、、

 

こんなイメージでしょうか。

 

SWOT分析

本日はSWOT分析について勉強していきたいと思います。

 

SWOT分析とは企業がおかれている環境を把握・分析するためのフレームワークです。

フレームワークとは考える際の枠組みで、大事な検討要素が漏れないように使うものです。フレームワークはあくまで枠組みなので、大切なのは中身。就職活動などで使う履歴書も会社側が知りたい項目を設定した枠組みなので、項目としては抜けもれなく記載ができますが、大切なのはそこに記載されている内容です。

 

SWOT分析戦略を考える際に必要となる企業の強み(Strength)、弱み(Weakness)、外部環境の機会(Opportunity)、脅威(Threat)の現状を整理するために利用されます。

 

S,W,O,Tの順番とは異なりますが、一般的には外部環境である市場のプラス要因である機会(Opportunity)と市場のマイナス要因である脅威(Threat)から分析をしていきます。

 

外部環境分析

外部環境は、競合他社の様子やすでに提供しているサービスの市場動向など、ミクロなものと、人口動態や、技術の進歩、政治、法令などのマクロなものの2つの観点で分析をしていく必要があります。

 

内部環境分析

内部環境分析は自社の強み(Strength)と弱み(Weakness)を整理していきますが、強いも弱いも相対的な指標です。クラスでいちばん腕相撲が強い人はクラスの中では最強ですが、プロのアームレスリング選手と戦ったら最弱かもしれません。

分析の際には競合と比べてどうか、顧客から見たらどうかという観点で整理していく必要があります。

 

戦略の基本パターン

SWOT分析をすると、外部環境のプラス要因とマイナス要因。内部環境のプラス要因とマイナス要因の2つずつに分けられますので、全部で2×2の4パターンの方針を考えることができます。

 

市場の機会×自社の強み

→ 大きく成長できる機会に対して、強みを活かしてどうしたらよいか。

市場の機会×自社の弱み

→ 大きく成長できる機会を弱みで逃さないためにはどうしたらよいか。

市場の脅威×自社の強み

→ 自社の強みを活かして、どのようにして脅威を切り抜けたらよいか。

市場の脅威×自社の弱み

→ 自社の弱みで市場の脅威が現実のものにならないように、被害を最小にするにはどうしたらよいか。

 

2020年はコロナで外部環境が大きく変わりました。この市場の変化を「外出規制」とマイナスに捉える業種は脅威に分類しますし、「巣ごもり消費」や「オンラインサービスの拡大」とプラスに捉える業種は機会に分類するかと思います。

 

フレームワークは中身が大切という話をしましたが、このように同じ事象であっても考え方によってプラスにもマイナスにもなるものがあるので、分析の際にはしっかりと目的をもって考えるということが大切です。

 

経営戦略の階層

本日は経営戦略の階層について勉強したいと思います。

 

経営戦略は、上の階層から順番に以下のように分けられます。

・全社戦略(企業戦略)

・事業戦略

・機能別戦略

これら全体を含めて経営戦略と呼ぶ場合もありますが、いちばん上の全社戦略だけをさして経営戦略と呼ぶこともあるようです。階層という表現になっているのは、全社戦略を達成するために、事業戦略があり、事業戦略を達成するために機能別戦略があるという構造になっているからです。

 

この階層構造が、きちんと成り立っていないと従業員の方がどんなに仕事を頑張っても、全社戦略が達成されないということになってしまうので、それぞれの整合性をきちんととりながら、それぞれの戦略や業務設計をしないといけません。

 

上記のような階層をもった戦略が必要になるのは、企業内に複数の事業があるような企業で、1事業のみの会社であれば、全社戦略=事業戦略となります。

清掃用品のレンタルやプロのお掃除サービスを提供している「ダスキン」は、まったく違う事業である手作りドーナツの「ミスタードーナツ」も運営しています。これを例に考えると、このように複数の事業がある場合には、どちらの事業にどれだけ注力するかという全社戦略と、そのあとでそれぞれの事業戦略が必要となるということがイメージできるのではないでそしょうか。

 

全社戦略

企業内の複数の事業について、どのように資源配分して、打つ手を実施するか。

また、新規事業への進出、撤退など企業の活動領域にかかわることを検討するのも全社戦略で、主に社長クラスが考える戦略です。

 

事業戦略

特定事業において、どのように資源配分して、打つ手を実施するか。

る競合他社に対してどのように戦っていくのかなどを検討する戦略で主に事業部長クラスが考える戦略です。

 

機能別戦略

事業遂行上の個別機能において、どのように打つ手を実施するか。個別機能とは、生産や営業、研究開発などで、それぞれの生産性をどのように高めていくかを検討する戦略です。主に課長クラスが考える戦略です。

 

主な経営資源は、「人・モノ・金」で資源には限りがあるので、全部の事業を最優先として全力投球ということはできません。限りある資源をどのように配分すると、成果を最大限にできるのかをそれぞれの階層で考える必要があります。

 

人も同じで「時間・金」など資源には限りがありますので、その中で仕事の時間と家庭、趣味の時間を調整したり、どこかで節約をして他の欲しいものを購入したりと、資源の配分が必要ですが、きちんと戦略を持って行動している人と、そうでない人がいるのではないでしょうか。

 

経営ビジョン

本日は経営ビジョンについて勉強していきたいと思います。

 

経営ビジョンとは企業が目指す中長期的な目標のことです。前回勉強した経営理念は普遍的なものでしたが、ビジョンは環境に合わせて変わるものとして定義されます。

理念よりも具体的で、「いつまでにどういった姿を目指すか」というものを含んだりもします。

 

理念がまったく同じ企業が2つあったとしても、経営者の目指すべき方向が異なっていれば、ビジョンも違うものになり、従業員の働き方やサービスや商品で重要視するところも、変わってきます。

 

企業経営を人生に例えて、「人に感謝される人生を送る」という理念を持って生きていたとして、中長期的に「仕事で成果を出す」という目標を持つ人もいれば、「家族と過ごす時間を増やす」「海外ボランティアの活動に注力する」など、その人の価値観が異なればいろいろなビジョンが出てくるかと思います。

 

また、「人に感謝される人生を送る」という理念は変わらずとも、若いうちは「仕事で成果を出す」を目標として、その後、年を重ねたときには「ボランティアの活動に注力する」というように時期(時代)にあわせてビジョンが変わるというのもおかしなことではないということがわかるかと思います。

 

企業も同じように人に喜ばれるという理念を実現するとして、そのために、多くの人を喜ばせる(商品やサービスを提供する数を増やす)というところもあれば、喜びを大きくする(一つの商品やサービスでの満足度を高める)という方針をもつこともあります。中長期的にどのような姿を目指すかは経営者の方針としてどうしたいか、経営者の価値観によって決まるものとして理解してもいいかもしれません。

 

そして、経営ビジョン(企業が目指す中長期的な目標)を達成するための打つ手(とるべき方法)が、経営戦略となります。

 

経営ビジョンで数字の目標を設定する企業もありますが、多くの企業は、「大きな喜びを提供」のように「誰に?どれくらい?」と従業員が疑問にもってしまうように具体的な定義をしていません。

 

その場合は経営ビジョンとは企業が目指す中長期的な目標ではなく、方向性として理解いただくのがよいのかなと思います。人間はいちど目標を達成してしまうと、そこで成長を止める怠け者ですので、具体の数字を設定せずに進むべき方向を示しているということなのかなと思います。

 

5kg痩せるぞ!という目標でダイエットをして5kg痩せると、そこで満足してしまいリバウンドしてしまうということがありますが、健康的な体重を維持するぞ!という目標にすると5hg痩せた後もずっと頑張らないといけないのと同じようなことですね。

 

 

 

 

経営理念

本日は経営理念について勉強していきたいと思います。

 

経営理念とは

「企業が経営していくうえで拠り所となる普遍的で半永久的な方針・価値観」のことです。企業としての最終的な目標や、行動規範といったものが文章化されています。

 

経営理念は何のためにあるの?と思われる方もいるかもしれませんが、日本を代表する経営者「松下幸之助」が「経営理念を確立して浸透させれば、その事業は半分成功したものと同じ」というくらいの重要なものです。

 

企業活動をする中では、いろいろな判断を行ったり、問題への対応をしていくことになりますが、経営理念はそのときの判断基準になります。

経営理念が確立されていて、従業員も共感している、浸透しているという状況になると従業員が理念にしたがった行動、判断を迅速に行っていくことができますので、強い企業となっていきます。

 

高級ホテルブランドのリッツカールトンは

「お客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。」

という行動規範を従業員に徹底的に浸透させて、リッツカールトンに行けば、誰もが最高のおもてなしに感動するといわれるくらい評価されるホテルとなっています。

 

では、経営理念にはどのようなものがあるのかいくつか見ていきたいと思います。

ネットショッピングといえばのAmazonですが、経営理念は「地球上で最もお客様を大切にする企業」となっています。ショッピングだけでなく、AWSといったクラウドサービスや、Amazonプライムなどショッピング以外でどんどん拡大していっているのは、この理念で事業範囲を小さく設定していないからなのかもしれません。

 

続いて、カフェといえばのスターバックスは、「人々の心を豊かで活力あるものにするために — ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」

となっています。コーヒーを提供するだけではなく、心を豊かにというところが、ゆったり過ごせる空間の提供や従業員のサービス精神につながっていそうです。

 

では、最後はお茶漬けといえばの永谷園ですが、経営理念は「味ひとすじ」の一言だけで、とてもわかりやすいですね。味へのこだわりが感じられて永谷園の商品を食べたい気持ちになりました。

 

3つだけの紹介でしたが、あいうえお作文のような経営理念を作っている企業などもありますので、気になる企業があれば調べてみるのもおもしろいかと思います。

ファイブフォース分析_代替品

本日はファイブフォースモデルの代替品について考えていきたいと思います。

 

代替品とはある商品やサービスと同じ機能を持つものです。企業が提供としている商品やサービスを他のものに代えることができる場合には、自社の収益性が悪化します。

 

競合のところでも勉強しましたが、自社の競合をどのように定義するかで代替品か否かの判断が変わってきます。牛丼を丼もの市場とすると、代替品はかつ丼ですし、外食市場とすると、他の飲食店が代替品になり、食事市場と捉えると、家庭での食事も代替品となります。

 

「顧客が求めているものは、ドリルではなく「穴」である。」という有名な言葉があります。ドリルを買いにくるお客さんは、ドリルという工具が欲しいのではなく、ドリルを使って穴をあけるという行為をしたいというのが、本当に求めていることで、ドリルよりも効率的に穴をあけられる製品やサービスがあればドリルではなく、そちらを購入するようになるという意味です。

 

便利な代替品が市場に出てくるとことによって、一気に市場が変わってしまい自社の提供している製品やサービスが急激に購入されなくなってしまうことがあります。

 

馬車が主流だった時代に馬具市場は「移動手段」という市場に代わり、車に代替され、CDやDVD、テレビはyoutubeなどの配信サービスに、手紙や電話はメールやLINEに代替されていっています。日本がガラケー開発に集中していたように、特定の分野だけに絞っていい良い製品、良いサービスを作っていったとしても、スマートフォンのように他のより便利なものが市場に出てくると、あっという間に見向きをされなくなってしまうので、代替品の存在はたいへん恐ろしいものです。

 

特に自社の商品が何の市場の製品、サービスなのかについて考える際は固定観念を捨てて考える必要があります。

「菓子市場」だと思っていたチューインガムが、実は「暇つぶし市場」の製品で、スマートフォンの登場によって収益が下がってしまうということを予見するのは、かなり難しかったのではないでしょうか。

当時私がおいしいガムを作ろうとしていたとして、「スマートフォンの登場が危険です!」と言われても真面目に取り扱えた気がしません。